森の資料集

森林の公益的機能

○ 森林の多面的、公益的な機能について

 森林は,木材の生産機能のほか,渇水や洪水を緩和し、良質な水を育む水源のかん養機能、山地災害の防止機能、二酸化炭素の吸収・貯蔵や騒音防止、飛砂防止などの生活環境保全機能、レクリエーションや教育の場の提供、芸術・創造の場の提供などの保健文化機能等、多面的な機能を持っています。
 一般には、多面的機能のうち、木材等の生産機能を除くものについて、公益的機能と呼ばれています。
 平成13年11月に日本学術会議による森林の貨幣換算(換算可能な一部の機能のみの評価)では、森林は1年間で70兆3千億円の貨幣価値を生み出しているとしています。
 同様の方法によると、山形県の森林は、年間1兆8千億円となります。


○森林が有する多面的機能
機  能 機能の種類 機  能 機能の種類
水源かん養機能 渇水緩和
洪水緩和
水質浄化
保健文化機能 レクレーションの場の提供
保養の場の提供
スポーツの場の提供
芸術・創造の場の提供
自然とのふれあいの場の提供
精神安定の場の提供
景観の提供
教育の場の提供
野生鳥獣の保護
魚類の生息環境の提供
遺伝資源の保全
学術研究の場の提供
山地災害防止機能 土砂崩壊防止
土砂流失防止
なだれ防止
落石防止
浸食防止
生活環境保全機能 二酸化炭素吸収
酸素供給
気温緩和
湿度維持
霧害防止
風害防止
飛砂防止
雪害防止
潮害防止
塵埃吸着
汚染物付着
騒音防止
火災延焼防止
災害時の避難場所の提供
火災延焼防止
木材等生産機能 木材生産
その他森林生物の生産
(特用林産物、薬草、動物、 林間作物、昆虫等)
○ 森林は、洪水や渇水を防ぎ、おいしい水を提供してくれます。
 森林の土壌は、穴の多いスポンジのようになっており、水をすみやかに地中に浸透させる働きがあります。その能力は裸地の3倍という報告があります。これらの機能は雨水を一時森林に蓄えて、ゆっくりと森林に流すことから、洪水や渇水を緩和する働きを担っています。
資料:村井宏・岩崎勇作「林地の水及び土壌保全機能に関する研究」
 
 豊かな森林がある山は、降水を蓄え、河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水を緩和するとともに、川の流量を安定させる機能を持っています。また、雨水が森林土壌を通過することにより、水質が浄化されます。
○ 森林は、山崩れなどの山地災害を防いでくれます。
 森林の土壌は、落ち葉や下草に覆われています。雨のしずくが土壌表面にぶつかった時、この落ち葉や下草が、土砂の飛散や浸食・流出を防いでいます。
資料:林野庁業務資料
 
 樹木の根は地中に広く伸び、岩の亀裂にまで入り込みます。
土壌と基岩層との境界を、根がしっかりと固定しているので山崩れが起こりにくくなります。
資料:林野庁業務資料
○ 森林は、人々に快適な生活環境を与えてくれます。
 森林は、樹幹や枝葉により風を弱める働きがあり,強風や飛砂の害から,農地や家屋を守ることに役立っています。その防風効果は,樹高の約30倍の範囲に及ぶといわれています。
資料:樫山徳治 「内陸防風林」 林業技術 1967
○ 森林は、地球温暖化防止への貢献が期待されています。
 森林は光合成により、温室効果を持つ二酸化炭素を吸収し、炭素を固定して、地球の温暖化防止に重要な役割を果たしています。日本の森林は、光合成によって二酸化炭素を年間約9,700万トン吸収・貯蔵し、年間7,100万トンの酸素を放出しています。これは国民の年間呼吸量の約2倍に相当するといわれています。
資料:林野庁業務資料
○ 森林は、様々な野生生物のすみかとなっています。
 森林は、様々な植物、動物、菌類、微生物などの生息・生育の場となっており、生物種や遺伝子、生態系を保全するという、根源的な機能を持っています。人間の生存基盤である自然生態系を健全に維持し、生物資源の持続的な利用を図っていくために、生物の多様性を保全していくことが求められています。

参考文献「知っていますか?暮らしを守る森林の働き」(林野庁)、森林・林業・木材産業そこが知りたい(日本林業改良普及協会)